Leftimage Leftimage Leftimage

進化論はウソ 恐竜と人類は共存していた

ケンタッキー州ピーターズバーグ 天地創造博物館で

 

 日本人のどれほどが、イザナギ・イ ザナミの日本列島形成を歴史的事実として信じているだろうか。神話・伝説として受け継がれているだろう。しかし、米国では多く のキリスト教徒にとって、「創世記」は神話ではなく歴史そのものなのだ。

 バイブル・ベルト(聖書地帯)上にあるケンタッキー州ピーターズバーグ。人口2千人足らずの小さな町だが、年間50万の人々が国 内外から訪れる場所がある。07年5月にオープンした天地創造博物館である。アニメ化された恐竜を展示した博物館の建設費は2700万ドル(約24億円)、支持者からの寄付といわれている。

「恐竜の化石や骨には、何年前のものという札はつけられていません。よって、それらが何億年前のものというのは学説にしかす ぎず、証拠はないのです。神は、6千年前にこの地球と自然界を作られたのです」

 博物館内ホールでのビデオ講演で、館長のケン・ハム氏は話しかける。少し早口だが明瞭な話し方は、多くのファンを惹きつけるというのもうなずける。オーストラリア人で福音伝道家の同氏は、1987年に移住後、宗教団体「創世記の答え」を創始し、現在米国で800のキリスト教系ラジオ局に番組をもつ。

 「この博物館建設の目的は、来館者にアダムやイブの時代からノアの方舟まで の話は科学的に立証でき、進化論はまちがっていると確信させることにあります。創世記は、神話ではなく、歴史的事実なのです」

 1925年テネシー州デイトンの高校教師のジョン・スコープス氏が、生物学の授業で進化論を教え、逮捕され裁判で有罪判決 がでた。当時の州法律では、進化論は聖書の記述と相反するということで、教えるのが禁止されていたからだ。裁判は、「スコープス裁判」「猿裁判」と言われ、全米から注目を浴びた。それから80年以上経った 今、進化論は公立学校で教えられているが、天地創造説と進化論をめぐっては論争は絶えない。

 今年2月にダーウイン生誕200年を記念して、「進化論 を信じるか」というギャロップ社による世論調査が行われた。39%が信じる、25%は信じない、残りの36%はわからないという回答が得られた。また、08 年の米国宗教調査によると、15%が無宗教と回答。これは、90年の8%から比べると約2倍にあたる。18才から29歳では22%にも上っている。

 このような聖書離れを背景に、最近では、キリスト教原理主義者による天地創造説をおし進め、「米国をとりもどす」動きは活発化している。ハム氏も同様、講演の中で警告を発している。

 「この国では、反キリスト教的考えが高くなってきています。10代の教会離れが進んでいる のも現実です。学校で進化論が教えられ、地球の誕生は45億年前だと教えられます。子供たちは、日曜日の教会での聖書クラスで教えられることとの違いにとまどい、聖書に疑いをもち始めます。しかし、教会では、心配するな、ただ神を信じろと言うだけ。子供の教会離れの大きな原因の一つは、聖書を正しく教える 者がいないことです」

 「キリスト教徒の中には、聖書の一部を信じなかったり、進化論を容認したりしている人もいます。キリストの言葉や再臨は、同じ聖書の中に描かれているのです。もし、このような妥協を許せば、進化論を許容すれば、私たちは救われないのです」

 「私たちは、聖書が、10戒が、公立学校で教えられる よう働きかけてきました。しかし、今となっては教育者が聖書を信じないかぎり、不可能ということはわかってきました。文化は上から下へではなく、下から上 へ上がっていくもの。もし、教会が進化論を認めれば、我々は神の上にいることになります。人間の道理をふりかざすことは、人間を究極的な権力者とすること になります」

 「進化論は信仰の妨げとなり、ポルノと中絶が蔓延する 社会を導きます。オバマ大統領を見て下さい。6月にLGBT(レスビアン、ゲイ、両性愛者、性転換者 )にも「平等な権利をもたらせるような方策を支持し続ける」と明言しました。聖書は真実ではないと言っているのですよ。LGBTを擁護するなど、もってのほかですよ。聖書では、 男性と女性が一つの肉体になると言っているのですから」

 「今こそ、聖書を信じ、イエス・キリストのメッセージが伝えられ、人々の人生は変えられるべきです。私たちは、権力に対して立ち上がる必要があります。今こそ、神を権力者としなければいけません。そうすれば、世界は変わるのです」

 ビデオ講演とはいえ、聴衆者の間から大きな拍手がおこ る。来館者の多くは、中年カップルか、家族連れ。中には教会のイベントとして来たのか、胸に教会の名前入りの名札をつけたグループもいる。

 博物館の入場料は大人21ドル。年間通しの家族パスもあり、キリスト教を中心にしたホームー・スクーリングをしている家族にとっては、格好の場所といえるかもしれない。子供はデイズニーランドの雰囲気を楽しみ ながら、聖書の世界に近づいていける。しかし、近隣州の教育関係者や科学者たちは、博物館はまちがった説を子供たちに植えつけると、展示内容に反対の姿勢を示している。

 講演後、館内の書店に寄ると、ホームースクーリング用の天地創造説のテキストやCDを購入する家族 連れで混雑していた。中にはテキストを400ドル以上購入している家族もいる。来館者たちは真剣に、博物館が創造科学の場と受け止めているようである。 店内入り口頭上を見上げると、聖書を読んでいる大きな恐竜がいる。パロデイではないところに恐ろしさがある。

「回答する記者団」に掲載

マクレーン 末子

ブロッガー。2000年に渡米、現在アリゾナ州に在住・・・続きを読む

コメント  *は必須、メールアドレスは非公開です。