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安すぎる兵士の命との批判で大幅アップに動く

 ブッシュ米大統領と米議会は、イラク・アフガニスタンなどで戦死した兵士の家族への死亡弔慰金などの大幅引き上げを検討している。現在戦闘地での死亡時、遺族が政府から受け取れる額は一回きりの約1万2000ドル(120万円)で、兵士の命が安すぎると遺族から反発の声が上がっていた。 
 
 最近発表されたイラクでの米兵の戦死者数は1415人。兵士がイラクで戦死する度、兵士の名前とランクがテレビで発表されるが、多くが若い下級兵士である。中には従軍中に子どもが生まれ、顔を見ないまま戦死した例もある。 
 
 イラク戦争開始時、死亡弔慰金は6000ドル(60万円)であった。その後1万2000ドルへと引き上げられた。しかし、国会議員や退役軍人の間で、大幅な引き上げを要求する声が上がってきていた。その背景には2001年の9・11テロの民間犠牲者に、平均一人当たり200万ドル(2億円)が政府から支払われたことがある。今回の提案は1万2000ドルから10万ドル(1000万円)に上げるというもので、この案が承認されれば06年度の予算に組み込まれることとなる。 
 
 今回の死亡弔慰金増額に加え、生命保険料上限額引き上げも検討されている。現在の死亡時受給額の上限25万ドル(2500万円)を40万ドル(4000万円)に引き上げようというものである。 
 
 しかし、多くの兵士が保険に加入していないという現実があり、残された家族が路頭に迷うというケースも多い。カリフォルニア出身のタヒー・タイソンさんはイラクで3年7月に戦死したが、最低額の保険料しか納めていなかったため、家族が死亡時に受け取れたのは、政府からの一時金と、保険金1万ドル(100万円)だけであった。 
 
 ニューヨークのビッキー・デイムラさんは、息子のデイビッドさんを昨年12月イラクで失っている。幸いデイビッドさんは保険に加入していたが、「保険に加入していない多くの兵士の家族は、どのようにこのわずかな一時金で生きながらえるのか」と問いかけている。 
 
 保険に加入しない背景には、米兵の給料の安さがあるようだ。軍隊ではランクはE1から始まり、任務期間に応じてランクが上がっていく。E4で年間約21000ドル(210万円)。多くのイラクでの戦死者はE4あたりの下級兵士である。あと住宅手当や危険手当などがつくが、民間傭兵と比べると給料は破格の安さである。 
 
 テキサス出身のクリストファー・ロカストさんはイラクでの任務期間を終えた元海兵。ランクはE4であった。イラクに戻る予定であるが、米兵としてではなく、チェイニー副大統領が最高経営責任者であった米石油サービス大手のハリバートンでの民間傭兵としてである。ハリバートンでは8万2000ドル(820万円)の給料が待っているという。 
 
 兵士が生命保険に加入していたとしても、突如最愛の家族を亡くした家族には、精神的に辛い日々が待っている。ニューヨークのキャシー・ブラウンさんの息子ナサンさんは、昨年4月ロケット弾に攻撃され、サマワ近郊で死亡した。キャシーさんは死亡弔慰金と生命保険金を手にしたものの、「お金は、最愛の者をなくした心のすきまをとり去ってはくれない」 
 
 また、キャシーさんは負傷し除隊された兵士に言及し、「政府からもっといい処遇が受けられればいいのに」と語っている。「息子とイラクで一緒だった負傷兵士たちは、肉体的・精神的に傷つき疲れきった様子だ。医療補助を受けるのに、なぜ長く待たなければならないのか」 
 
 国防総省によると、イラク戦争での負傷兵士の数は約1万人。その半数は任務に復帰できず、除隊されて帰ってきたものの仕事にもつけず、日常生活を営むにも困難さがつきまとう。政府からの給付金が頼りであるが、生活給付金や医療補助が下りるまで相当の時間がかかる。というのも、給付金を出すのは退役軍人省の管轄であり、軍隊から退役軍人省へと、書類が渡っていくのを待たなければならない。米国在郷軍人会によると、生活給付金や医療補助認定まで平均して7カ月かかるという。 

マクレーン 末子

ブロッガー。2000年に渡米、現在アリゾナ州に在住・・・続きを読む

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