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メキシコから砂漠縦断で米へ不法入国

 現在米国での不法移民の数は、推定で800万から約1200万人。その7割近くはメキシコ系といわれる。米国と長い国境でつながるメキシコから入国する不法移民は後を絶たない。その入国ルートは、カリフォルニア州など他地域が、国境警備強化で難しくなっているため、最も危険だが、監視が必ずしも行き届かないアリゾナ州ソノラ砂漠経由が多い。砂漠の縦断は、死と隣り合わせの過酷なものだが、それでも希望を抱いて、あえて入国する移民が増えている。 
 
 国境警備によると不法入国で逮捕された移民の数は、ソノラ地域だけで昨年35万人、平均して日に1000人。発見されず国内に入り込んだ数も含めると、不法入国者の数は想像もつかない。気温が上がる今ごろから3ヶ月間が移民の増える季節だ。 
 
 しかし、砂漠は、日中の気温が摂氏50度近くまで上がる。昨年の砂漠での死亡者数は139人に達している。不法移民の流入を見越して、地元紙アリゾナ・リパブリックは、連日のように不法移民問題を取り上げ、先週だけで8人が死亡したと報じている。 
 
 560キロにわたるアリゾナ州国境付近には、人家もなく起伏の多い砂漠地帯が広がっている。目に入るのはサボテン、生息している動物はガラガラ蛇、トカゲ、コヨーテくらいのものである。 
 
 一般的な不法入国の構図はこうだ。移民たちが、不法入国のために、斡旋業者に払う金額は平均3500ドル(38万円)。国境を越えた後、次ぎの地点で待機している別の人物によって、州都フェニックスまで車で運ばれる。フェニックスでは“ドロップハウス”とよばれる待機用の家で、かなりの過密状態の中、一時滞在する。ことし3月のドロップハウス摘発では3寝室の家に250人が押し込まれていた。 
 
 不法入国者の多くは、すでに国内にいる親類や知人を頼って入国してくる。彼らが不法入国者のために必要な金額を払うケースが多い。入金が確認されると、不法入国者は空港まで連れていかれ、にせの身分証明書と目的地までの片道航空券を渡される仕組みだ。 
 
 多額の“密輸料”にもかかわらず、斡旋業者に置き去りにされたり、中には殺されるケースもある。また、砂漠を徘徊する武装グループにお金や衣服までまきとられ、挙げ句の果てには、貴重な水さえもとられてしまう悲劇も起きる。 
 
 今月16日には、密輸人に置き去りにされ、ふらふらになって歩いていた14人が、国境警備員により砂漠で救助された。彼らは国境から北へ約100キロ4日間歩き続けていた。そのうちの1人は病院への搬送中に死亡。救出された時には全員が足に水ぶくれができ、脱水症状を起こしていた。 
 
 フェニックスまで搬送される時に命を落とすケースも増えている。先週だけで、移民たちを乗せた車数台が事故を起こし、少なくとも7人が死亡している。古いトラックやバンに20人から30人を詰め込め、運転したのが原因とみられている。 
 
 そんな危険を冒しても、仕事を求め入国しようとする移民の数は後を絶たない。テロ対策で、国境警備が強化されていると言われているが、不法入国者の数は減少するどころか増え続けている。 
 
 ことし3月から米全土で不法入国逮捕者数は日に平均3000人。昨年の1・5倍である。1月ブッシュ大統領は不法移民への優遇案を発表し、それが移民の不法入国に拍車をかけていると、ある国境警備員は指摘する。 
 
 6月初め、国土安全保障省のハチソン次官が、アリゾナを訪れ、移民の数を減らし、死者を出さないよう最善の努力をすると言明した。しかし、同時に警備人員配置の遅れをも認めている。 
 
 フェニックスにいる、メキシコのカロス・ビズカラ総領事は「米国内での労働力需要がある限り、メキシコなど中南米諸国からの米国流入は続き、この悲劇は終わらないだろう。何の解決策も見えない」と語っている。 

マクレーン 末子

ブロッガー。2000年に渡米、現在アリゾナ州に在住・・・続きを読む

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