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米市民3割弱「武装革命は必要」

 今月初めに発表された世論調査によると、米市民の約30%が「自由を守るため、数年内に武装革命は必要」と考えているという。この調査結果は、銃規制に関して社会は二分され、保守層の間で連邦政府不信が高まっていることを明らかにしている。また、政府機関は膨大な銃弾購入計画を発表したが、このことが政府不信に拍車をかけているようだ。「銃規制の一部として」、または「市民との銃撃戦に備えて」政府が銃弾を買い占めているといった憶測が流れている。

 この世論調査をしたのは、米ニュージャージー州、カナダ、英国にキャンパスをもつフェアレ・ディッキンソン大学。質問は大きく分けて2つ。「銃規制を支持するか」、「自由を守るため、武装革命はこの数年で必要と思うか」。

 銃規制については、全体の50%は議会が新規制法を可決すべきとしているが、規制反対は39%。賛成・反対は、回答者の支持政党で大きく分かれた。民主党支持者の73%は銃規制賛成、共和党支持者の65%は反対と回答している。この結果を見ても、党派を超えて銃規制法案成立はいかに困難かわかる。昨年12月のコネティカット州の小学校での乱射事件を受けて、オバマ政権は銃規制を推し進めてきたが、先月17日、攻撃用ライフル・大容量弾倉禁止、身元調査徹底などを含む規制強化修正法案は、ことごとく米上院で否決された。

 次に今回の世論調査の2番目の項目「自由を守るため武装革命は必要か」という問いには、29%は必要と回答。「ノー」と答えたのは47%、残りはわからないと答えた。「イエス」と回答した者の中で、共和党支持者は44%、民主党支持は18%、残りは無党派だ。

 オバマ政権が銃規制に力を入れ始めてから銃や銃弾の販売は伸びている。中でも、銃弾不足は深刻だ。特に需要の高い22口径や45口径用の銃弾は、銃店の棚から消えているという。アリゾナ州のフェニックスでの銃展示即売会にも行ったが、銃弾を求めて殺到する人で銃弾売り場に入るのに待ち時間2時間。銃規制を恐れた銃愛好家たちが大量に買い占めているのが、不足の原因という見方がある。だが、この調査結果を見れば、銃規制を懸念しているからだけでなく、近い将来武装革命が起こると信じているから銃や銃弾を買いに走っているとも考えられる。

 しかし、本当に銃弾不足は市民による買い占めだろうか。銃店に聞いてもわからないと言う。そこで、思うように銃弾を入手できない銃愛好家の間で、政府が銃弾不足を作りだしているという憶測が流れ始めた。その根拠は、国土安全保障省が次の5年で16億発の銃弾を購入する予定というニュース。同省は大量の銃弾は警察訓練に必要で、大量購入で単価が安くなるからと説明している。

 だが、国防省外の政府機関が、なぜそれほど多くの銃弾が必要なのかという疑問が共和党内で起こってきた。ジム・インハフ上院議員(オクラホマ州選出)は「オバマ大統領は憲法修正第二条で保障されている銃保有の権利を制約しようとしている。その方法として、政府機関が銃弾を購入することで、市民が入手できる数を制限しようとしている」とオバマ政権を非難した。先週、インハフ上院議員はフランク・ルーカス下院議員と、政府機関が購入できる銃弾数を制限する法案を提出。これは国防省以外の政府機関が01年から09年までの月平均より多くの銃弾を購入するのに制約を加えようというものだ。

 さらにこの国土安全保障省の大量銃弾購入計画は、「大きな政府」への反感を募らす保守派の間で別の政府陰謀説ももたらした。経済悪化で社会が不安定になり、起きるだろう暴動に備えて政府が買い占めているというのだ。

 元アラスカ州知事のサラ・ペイリン氏は、「経済が破綻し、連邦政府はデフォルト危機に陥り暴動が起きる。政府は市民暴動に備えて銃弾をストックしている」と自身のフェイスブックで警告。また、保守系ラジオホストのマーク・レビン氏は、「今後経済崩壊で暴力、殺害、略奪が起こるだろう」と予想し、国土安全保障省の銃弾購入を「すべての米国人に5発撃ちこめるだけの銃弾を購入した」と過激な発言をした。

 3〜5日にテキサス州ヒューストンで全米ライフル協会(NRA)年次大会が開催され、引き続き銃規制法案成立へ意欲を示すオバマ政権への対立姿勢を明確にした。スピーカーたちから「自由」という言葉が多く聞かれたという。保守系テレビ・ラジオのコメンテーターのグレン・ベッグ氏は「自由が危険にさらされている。銃保有の権利は侵害されない」と聴衆に向かってライフルを掲げ強調。ペイリン氏も「これは自由の未来に向けた戦い」とし、ホワイトハウスが乱射事件の犠牲者の家族を政治的に利用していると非難した。

 NRA大会で使われた「自由」という言葉。今回の世論調査でも「自由を守るため革命が必要」に多くの人が「イエス」と回答した。保守派にとって、この自由は銃保有の自由だけではない。彼らの自由を脅かすものには、オバマ政権下での医療保険改革、環境問題、同性愛結婚、避妊など多くの問題も含む。共和党支持者の多くが連邦政府と一戦を交えようと本気で考えているとは思わないが、政府不信は高まってきているようだ。その市民の政府不満・不信を煽り、来年の中間選挙につなげようとする動きが、今後増すのではないかと思われる。

マクレーン 末子

ブロッガー。2000年に渡米、現在アリゾナ州に在住・・・続きを読む

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