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大統領の給与返上に反応冷たく

 米連邦政府の強制的な歳出削減措置が3月1日に発動され、4月から政府職員の一時帰休が始まる。3日オバマ大統領はその職員たちと連携するため、自分の給与の5%を返上すると発表。職員の痛みを分かち合うと国民感情に訴えたいようだが、「意味のないジェスチャー」と国民は冷ややかに見ているようだ。

 米メディアによると、オバマ大統領は年収40万ドル(約3900万円)の5%の2万ドル(約190万円)を財務省に返還すると発表。大統領の給与は法に従って議会が定めるので、実際の支払額を減らすことはできない。よって、オバマ氏は毎月小切手をきって財務省に返還することになる。ヘーゲル国防長官は、その前日に同じ様に給与返上を表明した。

 強制歳出削減措置は11年与野党間で財政改革協議が決裂した際に設定され、今年1月発動の予定だったが2か月先送りとなった。膨大な財政赤字をどう削減するか、オバマ大統領は議会側とギリギリまで協議したが、大統領の「富裕層への課税強化」に対し「あくまでも歳出削減」を主張する共和党側と折り合いがつかず、時間切れで同措置が実行されることとなった。

 歳出削減額は10年間で1兆2000億ドル(約117兆円)。今年の削減額は9月末までで850億ドル(約8兆3000万円)。100万人以上の政府職員が一時帰休の対象となる。司法省は約11万5000人に今月21日から9月末までの14日の無給自宅待機を通告した。国土安全保障省も、運輸保安局や税関職員の一部に一時帰休の通知をしている。75万の国防省民間職員も9月末までで14日分の給料カットとなる。

 しかし、議会議員の給与は、強制的歳出削減から除外されている。返上を言いださなければ、大統領も国防長官も議会議員も今まで通りの給与なのだ。

 今回2万ドルを返上するオバマ大統領だが、夫妻の11年の総収入は、約79万ドル(約7700万円)。2010年には180万ドル(約1億7000万円)、2009年には550万ドル(約5億4000万円)と、オバマ氏の著書の印税が給与に上乗せとなっている。加えてウィキペディアによると、給料、住宅、スタッフの他に、年5万ドル(約490万円)の必要経費、かつ旅行費に10万ドル(約980万円)与えられるという。

 オバマ大統領の他に給与返上を明らかにしているのは、ナポリターノ国土安全保障長官、ホルダー司法長官やケリー国務長官など。ケリー氏の場合は年収約18万ドル(約1700万円)で、その5%の約9200ドル(約90万円)を職員のために慈善団体に寄付すると明らかにした。だが、同氏の資産は2億ドル(約196億円)とも言われている。妻のテレサ・ケリー氏は大富豪。亡き夫はハインツ・ケチャップ会社の創始者の孫で、その膨大な遺産をかかえる。
 
 これらの給与返上報道に市民の反応はどうだろうか。ABCニュースへのコメント欄では、多くの人が「オバマやケリーにとって5%なんて何てことはない。全くのジョーク」と冷ややかだ。
 
 連邦政府の職員の年給は25000ドル(約240万円)から75000ドル(約740万円)。オバマ氏が返上する2万ドルは、25000ドルの年収で家族を養っている庶民にとっての2万ドルと同じではない。今回の歳出削減交渉の立役者にとって、給与5%返上は生活には響かない。しかし、市民にとっては痛いのだ。

 一方、共和党全国委員会はすばやく、オバマ氏の給与返上をからかう発言をした。「予算に関して心配することはないよ。オバマは5%給与返上して、1時間で 18万ドルかかる大統領専用機で飛び回り、自分を支持する富豪相手に資金集めをするよ」と辛辣だ。

 二党が睨み合いを続け、お互いに非は相手側にあると譲りあうことなく時間切れで迎えた強制歳出削減措置。オバマ大統領は「党派を超え団結しよう」と繰り返してきたが、二党間の対立のしわよせは国民にくる。これから政府職員だけでなく、一般市民もじわじわと強制歳出削減の影響を見始めるだろう。失業給付カット、公立学校特殊教育プログラム縮小、入国審査での長蛇の列などなど、多方面にわたって予想される。

マクレーン 末子

ブロッガー。2000年に渡米、現在アリゾナ州に在住・・・続きを読む

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