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銃乱射事件はウソ?ネットで陰謀説

 昨年12月コネティカット州で起こった銃乱射事件を受け、オバマ政権が銃規制へ動き始め銃論議は活発になっている。その中で、銃乱射事件そのものをオバマ政権のでっち上げと唱える「陰謀説」がネットで出回りメディアの注目を浴びている。

 ハフィントン・ポストなどによると、陰謀説を唱えているのはフロリダ・アトランティック大学通信科のジェームズ・トレイシー准教授。同准教授は「銃乱射事件は報道されたようには起こらなかった。いや、全く起こらなかったかもしれない」と主張。同氏はかねてから陰謀説を立てることで知られ、オクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件、同時多発テロ事件、昨年7月のコロラド州の映画館での乱射事件報道にも懐疑を抱いているという。

 トレイシー氏は自身のブログで、コネティカット州ニュータウンにあるサンディフック小学校での銃乱射事件は、訓練を受けた「危機的場面の俳優たち」が演じた劇であり、オバマ政権に雇われたかもしれないとしている。真の目的は「世論を銃規制へともちこむこと」。

 トレイシー氏はブログ内で、同事件のタイムラインを上げながら、情報欠如を懐疑点として挙げている。まず現場での監視ビデオや写真がない。記者会見での検視官の不明瞭な応答、いかに数分で射撃犯がそれほど多く銃弾を発射できたかなどなど。同氏は記者会見での検視官のやりとりをグローバル・リサーチにも掲載。 

 たしかに、同氏が指摘するように、検視官は犠牲者がどのように致命傷を負ったかなどの質問に明確な応答を避けている。しかし、小学1年生20人を含む26人の犠牲者の死体に関して詳細な記述を避けるのは、犠牲者の家族の心情を考慮してのことと考えられる。また、ビデオや写真が公開されないのも同様な理由か、調査途中ということもあるだろう。

 この「政府による陰謀説」がネットで波紋を呼び始め、フロリダ・アトランティック大学やニュータウン市関係者から怒りの声があがっている。大学あてに「このような者に給料を払っている大学は恥を知れ」と怒りのコメントも寄せられるほどだ。これに対し大学側は准教授の見解を支持していないと強調。「今回、犠牲者の家族に新たなストレスを与えることに心を痛めている」と言う。

 11日CNNのニュース番組で、人気キャスターのアンダーソン・クーパー氏は「普通ならこんなばかげた陰謀説をとりあげないが、市民の税金でまかなわれている州立大学の准教授なので見逃せない」とし、番組内でトレイシー氏の写真も見せた。CNNは同氏をスタジオに招待したが断わられたという。

 今回この陰謀説を立てているのはトレイシー氏だけではない。犠牲者の一人である6歳の少女エミリー・パーカーさんに関するビデオも出回っている。ビデオで「エミリー・パーカーは数カ所撃たれて死亡した」と、ドレスを着たエミリーさんの写真が現れる。そして、追悼式当日にオバマ大統領と一緒に写真におさまっている少女の写真が現れる。「その少女は、エミリーと同じドレスを着ている。だから、エミリーは生きているじゃないか」とナレーターは言う。

 実はこのエミリーさんには妹がいて、その妹が同じ服を着てオバマ氏と写真をとったと考えられる。だが、頭から陰謀説を立てたい者には「それはウソだ。陰謀だ」と通用しない。

 このような陰謀説は重大事件が起こるたびに立てられてきた。情報が十分に伝わっていないということが憶測を呼ぶのであろうが、それ以上に政府、警察、メディアへの強い不信感がある。どこまで一般大衆は事実を伝えられているのかと考えれば、「事件は報道されたようには起こらなかったかもしれない」というのは頷ける。制限された内容しか報道されていないかもしれない。しかし、それが政府による企てで、銃規制を進めたいからというのは性急すぎる。

 陰謀説を唱えるのも「言論の自由」か。トレイシー氏の「陰謀の文化」講義を受ける学生の中には、彼の見解に懐疑的な意見をもつ学生も多いというが、「言論の自由」と准教授の見解を支持する学生もいるという。

マクレーン 末子

ブロッガー。2000年に渡米、現在アリゾナ州に在住・・・続きを読む

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