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ホームレス保護への動きは広がるか

 多くの米都市で、ホームレス人口の伸びは大きな問題。路上や公園などで食べたり寝たりすることへの禁止条例を制定し、ホームレスを犯罪者扱いする自治体が増えている。しかし、その一方で、わずかだがホームレス保護へと動く州や都市もでてきた。ロードアイランド州は6月末「ホームレス権利法」を制定。また、カリフォルニア州では、市と民間団体が協力し「ハーフ・ホームレス」と呼ばれる人々へ手を差し伸べるプログラムが始まっている。

 非営利団体「全米ホームレスと貧困法律センター」の最新の調査では、188都市でホームレスの生活を制約する条例を定めているという。従わなければ刑事罰をもうけている都市もある。コロラド州デンバー市では、公的な場で許可なしに飲食したり寝たりする行動禁止条例が5月末に施行となった。違反すれば999ドルの罰金と1年間の刑務所暮らし。これは市のホームレス追い出し作戦。警察の法執行初日の6月4日には、市民団体からの警告もあり通常たまり場の公園から、ホームレスの人々の姿は消えていたという。

 多くの都市で、市や民間団体が協力してホームレス対策はなされてきた。しかし、シェルターも供給より需要が多く、赤字財政をかかえる都市部では十分な対策がとれない。そこでホームレスを他市へと追いやろうとするわけだが、これに連邦政府の「ホームレスに関する協議会」は、ホームレスを犯罪者扱いする昨今の傾向に警告を発している。同協議会はそのウエブサイトで、罰を加えることは解決にはならず、ホームレスにとって役立つプログラムを設立すべきと言っている。

 この連邦政府の警告に応えるかのように、北東部州のロードアイランドはホームレスの人権を保護する「ホームレス権利法」を制定した。同法では政府、警察、医療サービス関係者、雇用主などは「ホームレスであること」で、不当な差別をするべきではないと謳っている。

 また、カリフォルニア州では、ホームレス保護への市民団体の活動も見られる。サンタ・バーバラ市では非営利団体「ニュー・ビギニングズ・カウンセラー・センター」がメインとなり、車の中で生活している「ハーフ・ホームレス」と呼ばれる人々対象に、夜間教会などの安全な駐車場スペースを提供している。

 この「セーフ・パーキング」と呼ばれるプログラムは、最新号のローリングストーン誌で紹介されている。同プログラムは、警察や住民から嫌がらせを受けず、車の中で寝泊まりできるよう駐車場を提供しながら、その間にホームレスが落ち着ける場所を探す手助けをする。参加者には、車の登録費、保険料や運転免許書保有は義務づけられる。駐車場にいられる時間は午後7時から翌朝7時まで。現在同市にある23駐車場の113台の車に150人が寝泊まりしているという。

 この記事で紹介されている人々は、不景気で解雇されたり事業をたたんだりした中流クラスからの脱落者。家やすべての物を売って、かろうじて残ったのが車。政府からの食料援助フードスタンプと月に100ドル未満の現金支給を受けている。

 米国国勢調査局の推計によると、ホームレス人口の中で約60%が車で暮らしている。これらの「ハーフ・ホームレス」にとって、車は最後の財産で「ホーム」でもある。車がなくなれば仕事探しにも行けない。最終的に車を手放さなければならないケースも多く、そうなればホームレス生活から抜け出ることが困難になるという。

 また、カリフォルニア州のサンルイス・オビスポ郡でも、同様なプログラムが教会などの施設で3月終わりから試験的に始まった。今年初め、路上駐車寝泊まり禁止条例に従って、警察が「ハーフ・ホームレス」の人々に駐車禁止チケットを与え始めた。ホームレスに罰金を科せるのかと、住民の間で警察への批判が高まり、結局市議会は「セーフ・パーキング」プログラムを導入する決議をした。

 さらに、同州サンディエゴでも、学生グループが中心になり「ドリームズ・フォー・チェンジ」という同様なプログラムを進めている。駐車場提供だけではなく、毛布、水、缶詰、トイレ用品なども支給。公的な援助が受けられるようにも指導している。
 
 正確なホームレス人口はつかめないが、「全米ホームレスと貧困法律センター」によると、毎年米人口の約1%がホームレスを経験しているという。この膨大なホームレス人口を考えると、「セーフ・パーキング」プログラムは焼け石に水だろう。しかし、良いモデルを示すことで人々の共感を呼び、このような運動が広がっていくかもしれない。

 

マクレーン 末子

ブロッガー。2000年に渡米、現在アリゾナ州に在住・・・続きを読む

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