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子供じみた米大統領選中傷合戦

 米大統領選共和党指名争いがより熾烈になってきている。その中でも目立つのがネガティブ・キャンペーン。相手候補を中傷するテレビCMのバカさ加減に、市民はうんざりしているが、2008年の選挙戦時とは比べ物にならないほど、ネガティブCMは多く過激になっている。

 選挙運動分析グループの「カンター・メディア・ソリューション」と「キャンペーン・メディア・アナリシス」の合同調査によると、4年前の共和党予備選では他の候補者への中傷攻撃はテレビCMの6%だったが、今年はその数は50%にも増えているという。

 現在ミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事とリック・サントラム元上院議員の支持率は互角とも、サントラム氏が優位に立っているとも伝えられている。双方、多額の資金を投じてテレビCMを流しているが、中傷CMに桁外れの資金を費やしているのは、ロムニー氏とその政治支援団体スーパーPAC。2月までで、1470万ドル(約11億8千万円)がネガティブCMに、ポジティブCMの2倍近くにもなるという。一方、サントラム氏とそのスーパーPACは、ネガティブCMに40万ドル(約3千200万円)、ポジティブCMに150万ドル(約1億2千万円)使っている。

 今年の選挙戦で、スーパーPACと呼ばれる候補者支援団体は中傷合戦に大きく関わっていると言われる。2010年の中間選挙に、従来のPAC(政治活動委員会)より強力なスーパーPACが起こった。スーパーPACは、直接候補者や政党とともに活動することはできないが、その一方、候補者に代わって他候補者を直接攻撃でき、中傷CMを出すこともできる。その上、企業・個人献金を無制限に集めることができる。候補者にとっては力強い存在だ。

 ロムニー氏の中傷CMは、サントラム氏にも向けられてきた。そこで、サントラム氏はミシガン州向けの広告で大きく反撃に出た。

 その30秒CMは「Rombo」。「ミット・ロムニーのネガティブ攻撃マシーンは戻ってきた」というナレーションで始まる。ロムニー氏のように見える男が小型機関銃をもって現れる。「今回、ロムニーの銃口からリック・サントラムに向けて発射されるのは泥」というナレーション。

 等身大のサントラム氏の的に向けて、男は発射し続けるが、その度に外れる。次第にイライラして来る男。「ロムニー陣営は、2千万ドル投じて他の共和党候補を無情に攻撃してきた」というナレーション。「なぜならば、ロムニーは、大きな政府のロムニーケアーや、雇用を抹殺するキャップ・アンド・トレード制度支持を隠そうとしているから」と続く。

 男が銃の詰まりを取ろうとすると、銃口から泥が発射。シャツが汚れる。汚れたシャツを見て泣き顔になる男。「ロムニーの醜い攻撃は裏目にでた」とナレーション。

 このCM、ロムニー氏の中傷攻撃をユーモアに警告しようとしたものという。しかし、ユーモアととれるだろうか。大統領候補者のCMとしては、子供じみているように思える。ネガティブCMにネガティブに応じただけととれる。

 この広告は放映され始めてすぐ注目を浴び、保守系Foxニュースに出演したロムニー氏は、「自分がしたことを他の誰かになすりつけるのは、政治の体質だ」と発言。「サントラムは、サウスカロライナやミズーリで中傷CMを流してきた。自分の選挙運動ではサントラムに対して、ネガティブCMは流していない」と反撃した。

 LAタイムズによると、世論調査で米国人は中傷キャンペーンに飽き飽きしているというが、フロリダ州予備選では、90%以上のCMはネガティブだったという。では、なぜ有権者がうんざりしているにも拘らず、中傷CMが多いのだろうか。その理由として、同紙は「効果があるから」と指摘している。視聴者は意識的にCMの内容に拒否感を示すが、候補者の負の要素が無意識の内に視聴者に植え付けられるのだという。

 今後予備選はミシガン・アリゾナで28日、3月には多くの州で行われる。候補者決定は5月、6月までずれ込むという見方もある。共和党候補者がこれらのCMに資金を費やしている間、オバマ大統領は資金をプール、夏以降の闘いに備えているようだ。

マクレーン 末子

ブロッガー。2000年に渡米、現在アリゾナ州に在住・・・続きを読む

6 responses to “子供じみた米大統領選中傷合戦”

  1. DTD

    昔の大統領選を調べて驚いた、やはりネガティブ合戦だった。
    1932年フーバーは民主党の候補がカトリックであることをネタに彼が大統領になったら、ローマ教会にアメリカが売られるという宣伝を行って、勝ったようだ。もはやネガティブ合戦を中止する法律を作るしかない。

  2. 扶余℃

    大半の常民は、ボールゲームの感覚で「敵を憎むことで団結して士気をあげる」
    という社会行動のパターンが染み付いていますからね。それを幼稚ととらえるか、
    曖昧なグローバリズムでもって共益を語るようなスマート市民こそが空想的で未成熟だとするか
    どちらが正しいかは私にはわかりません。

    まともな市民は「ああ、こうやって低スタンダード層をターゲットにした広報で集票するのだな」
    と他人事のように振舞っているのかもしれません。誰がオフィスに入ろうが、Fedは必ず
    勝ち組の味方をするようにできているのだから勝手にやってなさい・・・などと。

  3. hatehei666

     私もこうした中傷合戦にはうんざりです。最初は誰が大統領候補になるのかという関心から少しはサイトを覗いていましたが、最近はほとんど見ません。
     白人の保守派がおよそ紳士らしからぬ舌鋒で、しかも彼らが皆キリスト教信徒だと自称している事に、怒りを覚えます。
     トックヴィルだったら、この泥仕合をどう評価するでしょうか?

  4. Admin

    hatehei666さん

     ご存知のように、ロムニー氏の共和党候補指名が確実となり、オバマ氏との戦いが始まりました。これから11月にかけて、市民不在の選挙戦がくりひろげられそうです。メデイアは熱くなっていますが、選挙は一般市民の話題にのぼってきません。

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